小さな秋を見つける温泉旅

急に秋めいてきた10月。つい先日までは日中真夏を思わせる陽気であったのに、朝晩冷え込むようになり、季節の変化を感じる。 そうなると、なぜか温泉旅に出たくなるのである。



伊豆高原の秋はゆっくりやってくる。桜の葉が黄色に、漆が紅に変わっている。そんな小さな変化を楽しむのも楽しい。







敷地内をマップで散策


秋を見つけながらお湯に浸かる


鄙の湯

檜湯殿

黒文字湯

織部湯

ひさかたの湯

敷地内9つの貸切温泉を巡る


宿泊は万葉の棟「月の舟」ラグジュアリーなスイートルームでも秋を満喫





洗練された和モダンのベッドルームとリビング。プライベート庭園はリビングから眺めるだけでなく、直接降りることもできる。




「月の舟」は、万葉集の巻7に収録されている柿本人麻呂の代表的な歌にちなんで名付けられた万葉の棟の一室。


「天(あめ)の海に雲の波立ち月の船星の林に漕ぎ隠る見ゆ」


夜空を広大な「天の海」、雲を「波」、月を「舟」、星を「林」に見立てたもので、月の舟が星の林へ漕ぎ隠れていく壮大で美しい情景を描いている。



1300年前のある日の夜空のことだろうか。柿本人麻呂が夜空を海、月を舟、一面に輝く星を林に見立てた詠んだ夜空は今も変わらないだろうか。と思い巡らしてみる。人麻呂は自然と感情を結びつけることで、心の奥底の思いを表現する。なんともロマンを感じる歌。


万葉の棟には2つの貸切温泉があり、それぞれ、「ひさかたの湯」「ぬばたまの湯」と名付けられている。「ひさかた」も「ぬばたま」も万葉の枕詞である。


久方の月夜を清み梅の花心開けて我が思へる君   紀小鹿女郎


ぬばたまの夜渡る月のゆつりなばさらにや妹に我が恋ひ居らむ  作者未詳


遮るものが少ない伊豆高原の澄み切った秋の夜空は、くっきりと星が見え、星座観察なども楽しい。