炙り〆梭子魚の棒寿司、皮目が香ばしい太刀魚、走りの甘鯛

秋のメニューが始まった。涼しげな夏のメニューに変わって、相模湾で揚がった軽く脂の乗った魚や旨みを感じる素材でグッと落ち着きのある彩りに。



「梭子魚の焼き食い一升飯」という諺をご存じだろうか。スマホ社会では影をひそめつつある「諺」であるが、梭子魚焼いて食べるとどれほど美味しいかを言い得ているではないか。 梭子魚は白身魚であっさりとした魚である。焼くと梭子魚特有の香りが立ち、少し炙った皮には旨みがあってとても美味しい。



9月は釣りを楽しむ人に人気のターゲット「太刀魚」。眩しいほどの銀色に光る太刀魚はまるで研きあげられた刀剣のような姿からその名がついたと言う。白身で淡白な味でありながら脂も乗って上品な旨みがある魚だ。鱗を持たない太刀魚は素手で触ると指紋がつくほどデリケートだそう。刺身は絶品。漁場に近いところでなければ味わうことができない。少し炙って皮ごと刺身にしていただく。



まだまだ残暑が厳しい季節には、酸味の効いた南蛮漬けにしても杯が進む。



甘鯛は走り。これから旬を迎えていく。刺身はもちもちしていて上品な旨みがある。干物や松笠焼きにしてもいい魚である。(右手前)
金目鯛焼き霜造り。余韻に香ばしい香りがする。金目は冬に向かって旨みが増していく。 (左側)
鰤の御三家と言われる平政。身のしっかりした高級魚である。身が締まってさっぱりとした刺身は臭みも少なく、天城の山葵とよく合う。(奥)



9月はまだまだ日中は暑い日もあり、夏の名残りも感じる。それでも伊豆高原の森林を吹く初秋の風は涼しく、緑のイガ栗がまるく大きく成長しているのをみると、静かに深まりゆく秋の足音が聞こえてくる。


伊豆高原に移住する?

伊豆高原は国立公園の森林と相模湾の海を見下ろす風光明媚な土地柄。実はとても風通しが良い地域で夏は涼しく感じられる。冬は温暖であるため、雪も降らず、一年を通じて過ごしやすい。



別荘感覚で花吹雪を何度も訪れるうちに風景に安心感を覚え、馴染みのカフェができ、親しく話す。ふと定住はどうかと思うことがある。





都内へは1時間40分ほどのアクセス。在宅でのリモートワークと通勤のバランスを取れば十分可能だ。満員電車に押しつぶされることなく、車内で朝食。なんてこともできる。



常宿の主人に聞くと「実はうちの従業員も移住者が多いのです」という答えが返ってきた。どこからの移住が多いのか尋ねてみると
「特に長野県からが多く、青森からという者もおります」
「海、山、自然が多いこと。雪が降らない穏やかな気候が魅力なんでしょうね」



近隣に新しくレストランやカフェを開業したり、マルシェなどのイベントにも昔からの地元住民ではなく、移住して来た人たちがコミュニティを作って参加し、活動しているそうだ。


国土交通省の首都圏白書2024年度版によると20代の44.8%に地方移住に関心があることを明らかにした。子育て世代の若者が田園回帰の傾向にあると言えるのかもしれない。



隣の市町に比べると、別荘地として開発された伊豆高原は移住者を受け入れる気質がある。おおらかで温かい人柄もその一つであろう。


伊東市移住定着サイト

初夏の味覚、甘唐のムースとスズキのオランダ煮

今年も猛暑がやってきた。日本上空は記録的な暖気に覆われ、全国でも最高気温を記録するのは海のない内陸地域が多かった。ところが今年は静岡県静岡市が全国一の気温を記録。市内の風向きが大きく影響したのが理由だそうだ。

伊豆高原は豊かな国有林が暑さを和らげてくれる。天然のエアコンである。 暑い夏、海に近いところほど冷たい海風が吹いて涼しいのが常。



伊豆高原の和風オーベルジュ花吹雪では、暑さと喧騒を逃れ、湯上がりに浴衣を着て緑陰の中をそぞろ歩き。木々の合間を吹き抜ける風が本当に心地よい。森は灼熱の太陽の光を受けて、それを涼風に変えて届けてくれるのだ。



最近は海外からの泊まり客が多いように思う。
海外からの旅行者にとって日本の魅力は、伝統的な文化の香りと地元食材を使った日本料理。そしてなんと言ってもおもてなしの心が他国では味わえない日本独特の良さであろう。花吹雪はその全てを兼ね備えているのではないだろうか。そんなことを思いながら今宵も美味しい地酒と料理長のお料理を頂くことにしよう。



冷やした地酒が喉を潤し、これから始まる夕餉を一層引き立ててくれる
今日の地酒



先付:甘唐のムース

涼やかな先付けは、甘唐のムース。椎茸出汁の旨みと香りをジュレにしてある。無花果の甘さが広がってくる。



八寸:静岡鰻の朴葉寿司、蛤と白瓜の黄身酢掛け、白ずいきの水晶寄せ、合鴨の有馬山椒煮、鮑の味噌炊き、丸十の蜜煮

一品ずつ楽しみな八寸。見た目、口当たり、どちらも清涼で爽やか。身体に籠った熱を冷ましてくれる。



御造:金目の焼霜造り、ぽん酢寄せ、鰆と太刀魚

近海の魚は地酒と相性がいい。



煮物:鱸と茄子のオランダ煮

オランダ煮とは洒落た名前。洋風煮の事を言うのだそう。 江戸時代に長崎の出島でオランダとの貿易があった。その際に西洋風の料理法として日本全国へ広まったとされる。 どんな料理法なのか、ご興味のある方は調べて見られるといいと思う。コクのある日本の伝統料理。




焼物:天城の山葵田で育ったあまごの炭火焼き

竹串で刺しておどり焼きに。最後にその竹串で燻してあるそう。給仕された時には、天魚は葉の下に隠れるように盛り付けされていて、沢に住む天魚の姿に見せていた。山葵味噌で。



御飯・留椀・香の物

静岡牛「葵」の炊き込み、暑い季節にいただく冷製呉汁。



食事の後は夕涼みをしながらお風呂巡り。敷地内9つの嗜好の違った温泉を楽しめるのも花吹雪ならではの楽しみ方。

花吹雪の貸切温泉

和精油の魅力、静岡原産の太田ポンカン精油とは

柑橘系の西洋精油は、花から香りを抽出するネロリ、果実の皮から抽出するオレンジ、レモン、ベルガモットなどがポピュラーではないだろうか。
ヨーロッパの自然療法アロマセラピーでは、シトラスの爽やかな香りは気持ちを和らげ、リラックスできる効果があるとされ、コミュニケーションの活性化や食欲増進等、様々な効果が期待できるとして芳香浴などで利用されている。


アロマ業界では和精油が注目されているという。古くから親しまれている香木の精油に加え、柑橘系の精油も国内で精製されているそうだ。和精油が秘めるパワーと豊かな香りに魅せられて、積極的に和精油の開発を手掛けている、天然香水調香師の杉浦元昭先生にお話を伺うことができた。

静岡原産の太田ポンカン

静岡と言えば「富士山、お茶、みかん」と言われるほど日本三大みかんの産地でもある。温暖な静岡県は様々な柑橘類が育ち、食卓を彩るほか、贈答品としても利用されている。


静岡市清水区庵原町原産の太田ポンカンは、静岡県で生産される柑橘類のなかでも突き抜けるようなさわやか甘みとコクのある味わい。「ポンカン」ならではの独特で濃厚な甘さが魅力で、他県のものよりも収穫期が早くて12月初旬には出回る。


食べても美味しいが、ポンカンの皮から採れる精油に着目

「太田ポンカン精油は果皮から水蒸気蒸留法で採取します。香りは不安を取り除き、うつ気味になった心を高揚させて、気持ちを明るく前向きにしてくれる効果が期待できます。体のバランスを整える効果があるので、疲れやカラダのだるさを取り、熟睡を促す効果も期待されます」と杉浦先生。

なぜ、静岡県産の柑橘なのか

「静岡県の駿河湾沿岸地域は上質な柑橘を育てる環境が整っている。日本列島のほぼ中心で、世界文化遺産である「富士山」の南側に広がる海に面しているのがポイント」



①駿河湾の深さは最も深い地点で水深2,500メートル。日本一深い湾なのだが、実は世界でも有数の海底勾配が急な湾である。駿河湾の深い海には、黒潮系海洋深層水、亜寒帯系海洋深層水、太平洋海洋深層水という3つの深層水が存在していて、海水が清麗であることと、無機栄養塩類が豊富でプランクトンが増殖しやすい豊かな海であること。


②静岡県は日照時間が長い。年間2,000時間を超えるそうで、日照時間の長さでは、山梨県に次ぐ全国2位。さらに山間部を除き、ほとんど雪も降らない温暖な地域であるということ。


③山間地の斜面に比べて日光を浴びやすい海沿いの斜面。海水面に反射した太陽の光も果樹に注ぎ、盛んに光合成を行うことができるということ。海からの潮風も重要な役割を果たし、ミネラル分が豊富な土壌は柑橘類の味に深みを増し、美味しい果実が育つ。


④駿河湾の沿岸には湧水の名所が多い。富士山に降る雨や雪は年間約25億トンというから凄い。雨や雪は大地に染み込んで、濾過されながら地下水となって湧水として湧き出ている。豊かな自然を産み出し駿河湾に注ぎ込む。


太田ポンカン精油はどんな香り?

太田ポンカンの熟成した奥深い香りに魅了されたという杉浦先生は「みかんの甘い香りです。と言っても本当に濃厚なんですよね。南国を思わせるような濃厚な独特の香りがあります。オレンジ精油の香りってふわっとした甘いかおりじゃないですか。それに似た甘さと、その奥の方に樹木のような香りを持っていてオレンジよりも奥深く幅広い香りがありますね。ちょっと苦み走った、ビターオレンジの皮のような香りがします」


実際に太田ポンカンの精油の香りを嗅いでみると、ただ甘いオレンジの香りだけでなく、酸味や苦味も感じるような、甘さが鼻を抜けた後に確かに木を感じる。


太田ポンカン精油の効果は?

杉浦先生曰く「まずそのリラックス効果っていうのは非常に高いわけです。私はトリートメントなどにも使いますね。期待できる効果の主なものは3つ」


①トリートメントに使うと施術の最中に香りの良さで満足できる。


②テルピネオールという成分が多くて、抗菌作用や抗ウイルス作用っていう免疫を高めるのに非常に効果がある。


③自律 神経のバランスを整えてくれる


「成分が非常に高いのでこれが香りとして脳を刺激しますし、体内にもそのまま吸い込まれていくのでトリートメントをするとホルモン調整とかバランス調整、自律神経に非常に採用します」


トリートメントに使って大丈夫なの?

「大丈夫!この太田ポンカン精油は水蒸気蒸留法なので光毒性がないんです。柑橘系の精油は圧搾法で抽出するとどうしても光毒性があり、日光にあたると「シミ」「炎症」などのトラブルが起きてしまい肌にはつけられない。 私が開発した、太田ポンカン、はるみ、スルガ甘夏、東伊豆産のニューサマーオレンジの精油は全部水蒸気蒸留法で精製してあるんです。そのために光毒性がないのです。どれもアロマトリートメントに使えてボディに入っていけるんですよ」

太田ポンカン精油とブレンドするならどんな精油がいい?

「ズバリ!それは黒文字の精油でしょう。


黒文字精油と太田ポンカン精油をブレンドすると、太田ポンカンには柑橘の成分と深みのある木の成分があるでしょう。黒文字自体はもちろん木の成分がありますが、黒文字ってすごい複雑な香りを持っていて、実は柑橘系の香りも持ってるので調和しますね。 黒文字にはリナロールという成分がめちゃめちゃ多くて、それは花の香りです。この二つの精油をブレンドすると太田ポンカンにはない、花の香りを黒文字が補ってくれます。柑橘、花、木この3つが揃った香りがバランスよく調和して温かみがあってリラックスできる香りが生まれます」


太田ポンカン精油と黒文字精油とブレンドすることで、さらに安眠効果があると言う。

黒文字の香りと太田ポンカンの香りの相乗効果

「実際にブレンドしましたら実際にすごくいいんです。私のオリジナルブレンドに「駿河」という香りがあります。静岡県の柑橘系の精油と黒文字、ヤブニッケイなどをブレンドしたものですが、静岡ガンセンターで患者さんたちの睡眠のエビデンスを取ったんです。がんセンターの桜井和俊先生が黒文字の香りと柑橘の香りの相互作用を研究されていましてね。睡眠の導入には柑橘がいい。睡眠持続中に途覚醒しないためには黒文字がいいというところまで研究されていた。「駿河」という香りにすごく驚かれて、褒めてくださって。学会の論文にも載せてくださいました」私は静岡土産にと思ってブレンドしたんですけどね。太田ポンカン精油も黒文字精油も花吹雪さんで販売していますので、香りを試してみるといいですよ」


日本古来の香り、和精油は底知れないパワーと魅力を秘めている。日本にしか存在しない植物のもつ奥深さと可能性に惹かれるのも頷ける。農産物としての果樹は、出荷規格があるために摘果したり、規格外のものは販売できなかったりする。これらを活かすことができるのはSDGSにも合致して香りの効果以外にも期待できるのでは。


黒文字精油のニュース


黒文字シリーズ

冷おろしといただく夏の名残と秋の旬

暑いかった夏もようやく鎮まり、秋がかけ足で来た。今年の夏は「命に関わるほどの暑さ」と言われるほど、各地の最高気温を更新した。涼を求めて行った高原の避暑地も、エアコンがないので返って猛暑となったところもあるほど。


涼やかな秋の風に乗って虫たちの声が聞こえてくる晩には、冷下ろしで旬をいただこう。季節の移り変わりを献立でも味わいたい。



先付:巨峰と春菊の菊花酢和え、炙り帆立


今宵は限定酒、「開運」純米冷おろし。初秋、料理長イチオシの静岡県の地酒。秋を告げるお酒だとのこと。



「冷おろし」は冬に絞った新酒を劣化にないように火を入れ加熱殺菌して大桶に貯蔵。秋になって2回目の火入れを行わず、「冷や」のまま大桶から樽に下ろして出荷したことからこの名がついたそう。絞ったばかりの新酒はまだ熟成していないので荒さがあるが、一夏越して味わいが深くなるのだという。



八寸:胡麻麩と白瓜の胡麻酢和え、炙り〆かますの棒寿司、静岡鶏の松風、地物深海赤海老の老酒漬け、鮑の味噌炊き、銀杏の素揚げ、いちょう丸十


料理に一粒入っただけでも秋を思わせる銀杏。いちょう丸十が添えられて色づく紅葉を思わせる。 ところで、「銀杏」と書いて「ぎんなん」とも「いちょう」とも読む。ダブルネームの「銀杏」は、中生代(2億5千万年前〜6千万年前)から存在していた植物で、生きた化石とも言われるそうだ。収穫から食べるに至るまでにはなかなか苦難を伴うが、滋養強壮に良いとされるのはそんな背景にもあるのかもしれない。



御造:金目鯛の焼霜造り、旬の地魚・黒鯛、真鯛


鯛3種の食べ比べとなった今日の御造。なんとも贅沢である。柔らかく、上品な旨味の金目鯛。香ばしく焼いた皮と脂が美味。濃厚な味わいの黒鯛はワイルドな感じ。真鯛は淡白で甘味のある味わい。こんな楽しみ方も伊東港が近いここならでは。



煮物:契約農家直送 丸茄子の揚げ煮、揚げ海老真薯、薬味のせ


その手で来たか!と唸らせる一品、煮物。今回は関西風の出汁で仕上げてあった。秋茄子の美味さが引き立つ。



中猪口:洋梨と天城山葵のソルベ


季節の果物に天城の生山葵を効かせた大人のソルベ。洋梨の香りと甘さの次に来る山葵の香りとピリ感。



焼物:静岡牛「葵」の和製ロースト、農家直送ズッキーニたれ、舞茸、松の実


濃厚でコクのあるズッキーニのたれが、柔らかく品のある旨味の静岡牛をさらに引き立てる。冷やおろしが進む一品。



御飯・留椀・香の物:牡蠣とむかごの炊き込み、丸十の摺り流し、胡瓜の黒文字漬け、水茄子漬け、汐吹昆布


秋らしいご飯と汁物。



料理屋菓子:自家製栗蒸し羊羹


宿の敷地内に茶店ができ、甘味を提供。自家製のデザートは別腹でいただく。



今年は中秋の名月と満月が重なる年。うさぎの餅つきも賑やかになりそうだ。



掛け流し温泉を満喫した翌朝は、朝食前にウォーキングはいかがか。伊豆高原「海と森の散歩道」は花吹雪から対島川に沿って海を見ながら八幡野港へ続く散策コース。ちょうど日の出から30分の頃。晴れていれば絶景。




大淀、小淀と呼ばれる潮溜まり。地元の子どもたちは9月までここで泳ぐのだとか?溶岩が海に流れ、急激に冷やされたためにできた地形だそうだ。



岩壁を見下ろしながら吊り橋を渡りと森の中へ。




うるしの落ち葉は、秋の足音。





木立の合間から見る、朝のサンロード。







花吹雪の周りにも小さい秋が。

暮らすように旅する、連泊の醍醐味

チェックインから翌朝のチェックアウトまで、あるようで時間がないものだ。連泊の醍醐味の一番は移動の慌ただしさから解放されることではないか。



荷物をおいたまま、中1日あると過ごし方がグッと変わる。あえて連泊して気に入った土地に馴染んでいくのも旅の楽しみ方のひとつ。そこでしか味わえない体験をすることで忘れられない思い出となっていく。


城ヶ崎周辺は絶壁が遊歩道に整備されていて、城ヶ崎ピクニカルコースや城ヶ崎自然研究路など自分のレベルに合わせてハイキングを楽しめる。スニーカーで豊かな地形を踏みしめながら、絶景を楽しみながら、うっすら汗をかくのも時間にゆとりが持てる旅ならでは。



伊豆高原には博物館や美術館が点在している。アーティスティックな1日はどうだろう。ティディベアミュージアム、アンティークジュエリーミュージアム、ちょっと足を伸ばしてニューヨークランプミュージアムや高橋京子花の絵美術館もオススメ。ひとつひとつの美術品に思いを巡らせながら鑑賞してみては。


アンティークジュエリーミュージアム
https://www.antique-museum.com/guidance/


ニューヨークランプミュージアム
https://nylfmuseum.com/exhibition/


高橋京子花の絵美術館
http://www.xn--u9j623ublby5edrjyj1a.jp/information.HTM


アートに親しむ工房めぐりは作家気分で体験したい。ひとりで夢中になるもよし、誰かと一緒に作品作りもよし。手織りのコースターやタペストリー作り、陶芸、作家の作品も目の保養。



アトリエkai
https://itospa.com/spot/detail_54234.html


陶芸体験工房えんのかま
https://itospa.com/spot/detail_50004.html


アトリエロッキー万華鏡館
https://itospa.com/spot/detail_54268.html


カフェめぐりやベーカリーめぐりもできそう。滞在時間が長くなれば、宿の主人やスタッフとの会話も増える。まるで昔からの知人であったかのように気持ちの温かさが増していく。地元に暮らす人からのオススメを気軽に聞けるのも滞在型だからなのかも知れない。



出かけずに、ただゆっくりする




お風呂巡りも堪能したい。一晩ではなかなか周りきれない7つの貸切り風呂も、翌朝も昼間もゆっくり過ごせると思うとひとつひとつ味わいながら全制覇できるのでは。 早朝の露天ももちろんいい。朝食後、もう一度お気に入りの湯船に浸かる贅沢。湯治気分で何度も出たり入ったり。部屋着で昼までテラスで読書もよし。




昼の風呂上がりには、茶店でいただく涼。気になりつつも滞在中には満喫できないことの多い甘味。雲上亭や緑陰亭でスイーツやお酒を楽しむのもゆとり旅。


連泊の献立バリエーションに舌つづみ

料理長の腕が見せどころ。連泊のお客様には普段季節の献立にはないメニューが登場すると言う。伊東港で揚がる地魚と天城の山菜、長野の契約農家で採れた高原野菜が豊かに彩る。



さざえの壺焼き花吹雪風



金目の胡麻茶漬け



遠くから幼馴染が訪ねて来てくれたかのように迎えてくれる宿。「ただいま」と言って再び戻ってくる感覚。こころも身体もバランスを取り戻したかのように生き返る気分。心ゆくまで満喫できる連泊のゆとり旅が近ごろ魅力のようだ。

日帰り温泉は貸切風呂でちょっと贅沢な気分

100%掛け流しの温泉を独り占めできる贅沢

誰に気兼ねすることなくゆっくり楽しめる貸切風呂。夏に温泉?と思いきや、夏こそ温泉。森の中で楽しむ露天風呂は、豊かな緑とさわやかで心地よい風に吹かれて温泉に入る楽しみを味わえる。



温泉と夏バテの関係?

エアコンの効いた涼しい部屋でずっと過ごしていると、体温調節機能が衰えて、うまく体温を調整することができなくなり、熱中症のリスクが高まると言われている。「汗をかかない」ことがリスクを高める原因となっているそうだ。温泉は夏の冷えた身体を温め、血行を促進、熱中症になりにくい身体づくりが期待できそうだ。



また、「夏バテ」の原因の一つは「自律神経の乱れ」。日中の強い紫外線や、室内外の温度差、夜になっても気温が下がらない熱帯夜で夏の疲れは溜まっていく。日頃シャワーで済ませてしまっているけれど、ゆったりとお湯に浸かることで自律神経のバランスを保つのに効果的だという。38℃くらいのぬるめのお湯につかることで、副交感神経が優位に。体がリラックスモードになって疲れが取れていく。



自然を満喫できる夏の露天風呂


日常生活からしばし離れ、鳥の囀りと木々の揺れ動く涼風の中に身を置いてみる。都会から訪れる伊豆高原はけして標高が高いわけでもないのに涼しいのは緑深い森が天然のクーラーになっているのだろうか。森にはさまざまな鳥が飛来するので、じっくり声を聴き比べて過ごすのも素敵な寛ぎ方。



日帰り温泉としての利用は7つのタイプが違った貸切風呂の中から一つ。50分過ごせる。タオルは各風呂に備えてあるので、気軽に立ち寄り湯ができる。


100%掛け流しのお湯。夏はそのままだと熱いので、水を足してぬるめにしてゆっくり浸かるのをおすすめする。
お風呂に入る時に離れ離れにならないから、特にご夫婦やご家族だけで寛げるところが貸切風呂のいいところのひとつ。
7つの貸切風呂

湯上がりにコップ一杯の水を


お風呂上がりの汗がすっと引き、失った水分の補給も忘れずに。


湯上がりを過ごすのは、敷地内の見晴らし橋やうさぎの森の木陰に点在するベンチで涼むもよし、甘味処「雲上亭」「緑陰亭」であんみつを食べながら涼を取るもよし。ランチ「昼御膳」付きもおすすめしたい。


日帰り、7つの貸切温泉と昼御膳
貸切温泉と和スイーツ
森のカフェ、森の宿に吹く緑の風
日帰り、7つの貸切温泉と昼御膳
*駐車場20台以上あり

初夏の和ハーブ、甘茶、紫蘇、夏茗荷、山椒

今年は早い梅雨入りと台風でちょっと番狂わせな今年の初夏となった。5月末から7月までとは長い雨季である。雨を楽しむ工夫も必要。桜の花が開いたような形の傘やおしゃれなレインブーツやポンチョなどをチョイスしてみるのもいい。



紫陽花と甘茶どうちがうの

梅雨時ならではの美しさ代表格は、雨に濡れた紫陽花だろう。いくつもの花が鞠のように集まって咲く大輪「ホンアジサイ」が一般的。線香花火のように外側に装飾花が咲いているガクアジサイ。これはアジサイの原種だそう。どちらも日本で昔から愛されている花で、上生菓子や浴衣のデザインなどにもアジサイは良く目にする花である。


関東以西の山間部に自生する「ヤマアジサイ」はホンアジサイに比べて葉が細い。アジサイは色も種類もさまざまで本当に見ていて飽きない。最近では西洋種の「カシワバアジサイ」や「アナベル」もガーデニングで人気だという。伊豆にも紫陽花の名所はいくつもあって開花期も長いので雨の日のお出かけにはアジサイのお花見をオススメしたい。



あじさい



ガクアジサイ


ガクアジサイと見分けが付かないのが「甘茶」。ヤマアジサイの甘味変種だそう。うさぎの森は、この甘茶が見ごろになる。一般的にアジサイは食用にならないが、「甘茶」はその名の通り、葉を乾燥させて煮出すと甘く、甘味は砂糖の1000倍ほど。また、抗アレルギー成分が含まれているとして健康茶としても飲用されている。一見そっくりな甘茶とガクアジサイの見分け方は、葉に光沢があるかないか。光沢がないのが甘茶なのだそう。



甘茶


チェックインの時に出してくれる、ウェルカムティ「森のお茶」には甘茶がブレンドされており、ほのかな甘さを感じることができる。黒文字やハーブのブレンドが奥深い味わいで旅の疲れを癒してくれる一杯だ。




掛け流しの湯に浸かり、雨の音を聞きながら過ごす宿は究極のリラクゼーション。どこか特別な時間のような気がする。雨を楽しむためにあるように森の中に佇む宿泊棟で、恵みの雨に感謝。雨音に紛れて拍子木を打つ音が聞こえてくる。




長七 今夜のお献立

倶楽部ハウスでいただく夕餉。繊細で奥深い会席料理はお勧めの日本酒と一緒に楽しみたい。



先付:甘唐と汲み湯葉の摺流し・干し椎茸出汁の水晶掛け
旬を迎えた甘唐の摺流し。独特の甘みと風味がしいい茸の出汁と相まって喉越しに涼しげな一品



八寸:静岡鰻と紫蘇の朴葉寿司・白ずいきの水晶寄せ・鮑の味噌炊き・新丸十の蜜煮・蛤と白瓜の黄身酢掛け・合鴨の有馬煮
紫蘇独特の風味が一層味わい深い鰻の朴葉寿司。すっきりとした香りが食欲をそそる。



御造:金目鯛の焼霜造り ぽん酢水晶・鰹・紋甲烏賊
金目鯛の皮を炙った焼き霜造りは旨味を堪能できる。



煮物:鶏ガラ煮込みの鱶鰭・丸茄子の揚げ煮
コクのあるスープで煮込んだ鱶鰭と揚げた丸茄子。



中猪口:青梅と天城山葵のグラニテ
さっぱりとした口直し。山葵の辛味が爽やか。



焼物:天城の山葵田で育ったあまごの炭火焼き
身に弾力があり、ほっくりとした美味しさ。皮目の香ばしさにお酒がすすむ。 葉の影に隠れるように泳ぐ姿の盛り付けは、清流の女王と呼ばれるアマゴの美しさを表現しているよう。



御飯・留椀・香の物:夏牛蒡と静岡牛「葵」の炊き込み・冷製呉汁・胡瓜の黒文字漬け・茗荷の甘酢漬け・汐吹昆布
牛蒡の良い香りがたつ炊き込み。静岡牛「葵」の旨味と相まってご飯が止まらない。



料理屋菓子:黒胡麻葛餅・西表黒糖の黒蜜・きな粉


花吹雪の東側、駐車場の隣の森に新しい宿泊棟とお風呂ができると聞いた。来年の1月か2月ごろ完成予定だという。こんもりとした林の中の宿泊棟はどんなだろうか。今から楽しみである。



「あんみつ」に誘われて、くぐる暖簾。雲上亭と緑陰亭。

「あんみつ」このひらがな4文字、なんとも魅力的ではないか。ついつい惹かれてしまう。つるんとした喉越しと優しい甘さ。素通りはできない。


和菓子のルーツ

日本の四季と和菓子はとても密接な関係で、夏になれば涼やかな水を、春には芽吹きや花、秋葉には木の実や紅葉など、その季節を想像させるものが多い。日本古来の文化や習慣がお菓子と共に親しまれている。



日本の伝統的な菓子。和菓子のルーツを探ってみるとその歴史は古代に遡る。日本人は米、粟、稗などの穀物が主食であった。食事と食事の間に、お腹が空くと野山の果物や木の実=種子を食べていたそうで、果物の「果」と種子の「子」から菓子と言われるようになったという説もある。初めは生で食べていた木の実や種を、後に乾燥させたり、木の実の粉で粥や団子を作ったりするようになっていったという。



蜜豆は夏の季語

和菓子の代表格とも言える「みつまめ」は江戸時代末期から庶民の間で親しまれていると言われており、始まりは赤えんどうに蜜をかけて食べていた子どものお菓子「蜜豆」で、夏の風物詩であった。今では賽の目に切った寒天や白玉、フルーツ、アイスクリームなどを乗せた和風パフェとも言える豪華なものまである。



160年以上も愛されてきた和菓子「みつまめ」と「あんみつ」の違いは蜜豆に餡子を入れたかいれないかの違いだけだそうだ。餡にも「つぶあん」「こしあん」「しろあん」などお店によって様々。


花吹雪の料理屋菓子


「コース料理のデザートをもっと多くの人に食べてもらいたい」そんな料理長の思いが実現して花吹雪の「雲上亭」と「緑陰亭」が、昼間の時間に甘味処として利用できるようになった。月見門から入ると野点傘が目に入る。



緑に囲まれたなんと贅沢なお休み処か。木陰で一息つくようにしばし深緑に癒され、甘味を味わいたい。



花吹雪の「あんみつ」には自家製和三盆わらび餅入り。小豆を練り込んであるのでその食感も楽しみたい。


全国でも優良の天草が採れる伊豆。天草は磯に近く波の荒いところで育つものがよしとされ、海女が潜って採るものが最良とされるそう。 つるっと冷たい寒天は舌触りも良く、しっかりとしている。西表の黒蜜がからんでコクのある、それでいてさらっとした甘さが後を引く。


嶺岡豆腐


名物の嶺岡豆腐がコース料理でなくても楽しめるとはファンにとっては本当に嬉しい。「嶺岡」とは地名。千葉県南部、房総半島にある丘陵地、嶺岡連峰の山々を言う。この嶺岡地域で、将軍徳川吉宗公の名でインドから伝来した白牛が飼育されたのが日本の酪農の始まりとされる。その後、明治時代に千葉県が嶺岡乳牛試験場として牧場を運営することになったそう。「嶺岡豆腐」は江戸時代、徳川吉宗が鷹狩で嶺岡を訪れた際に牛乳と葛で作った「豆腐」を出したところ好評だったというのが発祥のようである。


「菓匠さんとは違い、料理屋の菓子です」と謙遜する料理長。懐石料理を出す食事処のスイーツは大人好みの上品な甘さ。コース料理の〆に出すデザートを一品の甘味メニューとして仕上げてある。


メニュー
クリームあんみつセット  1,320円
和三盆わらび餅セット    880円
黒蜜嶺岡豆腐セット     880円
ところ天(夏季限定)    880円
*お飲み物は抹茶、緑茶、ほうじ茶、コーヒーからお選びいただけます。

もちろん珈琲だけでも利用できるので、気軽に立ち寄りたい。



甘味処で涼んだ後、掛け流し湯で疲れも流そう。



今夜は歌人の名前がついた風姿棟の小和室、西行夢桜。大きく開いた窓からは深い森が見える。幾重にも折り重なるような緑の濃淡にため息をつく。


お楽しみの夕餉。今日の献立は涼やかな初夏のお料理。



先付:甘唐と汲み湯葉の摺流し、干し椎茸だしの水晶掛け、いちじく、花穂



八寸:うなぎと紫蘇の朴葉寿司、白ずいきの水晶寄せ
鮑の味噌炊き、新丸十の蜜煮
蛤と白瓜の黄身酢掛け、国産合鴨の有馬煮



御造:金目鯛の焼霜造り、大門ハタ、イサキ



煮物:鶏ガラ煮込みの鱶鰭、丸茄子の揚げ煮、冬瓜



中猪口:青梅と天城山葵のグラニテ



焼物:天城の山葵田で育ったあまごの炭火焼き



犬枇杷の葉に隠れて出された天城の山葵田で育った姫天魚。
白身は上品で身が美しく、まさに山葵田育ちの清流の女王。



御飯:夏牛蒡と静岡牛「葵」の炊き込み
留椀:冷製呉汁
香の物:胡瓜の黒文字漬け、茗荷の甘酢漬け、汐吹昆布



料理屋菓子:黒胡麻葛
黒蜜ときな粉がやさしい甘さにコクを添えている。



梅雨の花吹雪は格別。ここちよく弾む雨音が気持ちを落ち着かせてくれる。自然音は1/fのゆらぎと言われ、人をリラックスさせる効果があるそう。
部屋の窓どこからも見える深い森の草木の葉一枚一枚は、雨露に濡れて輝いている。






たっぷりと水を含んだ森にパワーをもらえる旅。

カシミヤ、キャメル、天然素材ハンドメイドの織物

柔らかな風合いの毛織物ストール。重さを感じないカシミヤのストールは、200g以下なのだそう。身につけている気がしないほどの軽さはストレス知らず。 花吹雪のショップコーナーにさりげなく展示されている作家モノのストールが気になって手に取ってみる。



冬素材だと思いがちな毛織物の巻物だが、薄く仕上げてあるものは、季節は問わないそう。実際にエアコンの効いた室内では首周りや肩に羽織りものが欲しくなる。冬用のマフラーやストールは厚めで保温に優れている分、ボリューム感も出るので合わせる洋服も選ぶことになる。薄手のものは、ボリュームもさほど出ずにファッションに影響も少ない。


カシミヤ(カシミヤ山羊)


モンゴルやネパールなどの高地に住むため繊維が非常に細かく軽くて暖かいのが特徴。柔らかな肌触りと上品な艶や光沢感があります。デリケートで「繊維の宝石」と言われるほど高級素材。


ヤク(牛)


中国、チベット、ヒマラヤの高地に住む。過酷な環境に対応してヤクは機能的に優れています。高い保湿性、柔らかな肌触り、丈夫で毛玉になりにくいメリットも。


アルパカ(ラクダ)


南米のアンデス山脈に住むペルーやボリビアです。毛の1本1本が空洞になっており、空気を溜めるので防寒性にすぐれている。軽くて保湿性が高く、滑らかな肌触り。艶感があり丈夫です。「アンデスの宝石」と呼ばれているほど。


キャメル(ラクダ)


フタコブラクダから採れる素材。カシミヤよりも太くコシがある。保湿性、弾力性に富み手触りが良い。ほとんどがナチュラルカラーで使用される。



花吹雪の近くに工房があると言う「アトリエKai」さんでは、手織の体験ができるというので予約をお願いした。歩いて2〜3分、伊豆高原の静かな住宅街にある工房には織り機や作品が所狭しと並んでいる。



初めての体験はコースターづくり。2時間ほどで2枚くらい織ることができる。



初めは機織り機の扱いに慣れなくて、同じところに左右から横糸を入れてしまいそうになる。折上がる布の左右の端の処理が出来上がりの美しさを左右するよう。



マイコースターが出来上がった。古布を裂いた糸からこのようになるとは!驚きと満足感。



アトリエkai 三条 海さん


機織りの魅力を伺ってみた。
1本の糸を折り重ねていくことで、世界にたった一つの布地へと織り上げる素晴らしさ。折前の色の掛け算だけでは仕上がりが想像できないところがまた魅力。追及したいと言う気持ちが溢れてきます。



素材の魅力について
天然素材は柔らかさ、軽さ、暖かさが魅力ですね。それぞれ特徴があって作品の仕上がりにも素材の個性が出ますね。



夏の暑い間や雨の日などでも宿からちょっとでかけて作品作りに没頭してみてはいかがだろうか?
アトリエKai 花吹雪から予約:体験料2000円+材料費500円〜




掛け流し温泉の家族風呂、24時間いつでも入れるとは宿泊するものにとって、本当に素敵なサービスだといつもながら思う。汗と疲れをさっと流して寛ぐ常宿。



今夜は希少酒、DATE7と甘鯛の松笠焼きをいただく。懐かしい思い出話が飛び出して、夕食の会話に華が咲く。