穏やかな小春空、森はかえで紅葉の五衣。

寒暖の差が激しい天城に比べて 海岸に近い城ヶ崎の秋は、ゆっくりとした足どり。
錦繍のように染める紅葉も情熱的で美しいけれど 刈安色の石蕗が出むかえる常宿はホッとこころが和む




敷地内の四つの宿泊棟より今日のお部屋は日本の色棟をチョイス
赤・茶・青・紫をテーマにした4室。 いずれも、日本の伝統色で室内をアレンジ。




自然に一番近い茶で彩ったお部屋「茶」
400色以上もあると言われる日本の伝統色は一言「茶」といっても70色以上あるのだとか




四季のうつろいの中で名付けられた和色は、 季節の風情や草花に由来する美しい名前ばかり
花薄、萩襲、朽葉、深梔子、焼栗。 想像しただけで、嫋やかなイメージがする。




平安の女性達のかさね装束の配色美においては 初紅葉、黄菊、紫の匂、花山吹、雪の下など。 繊細な感性から生まれた豊かな色がさね、 紅葉の美しさも、緑から朱へ移りゆく様を愛でたのだとか




森へ抜ける小径を彩る草花も味わい深く。 移りゆく季節の切なさを感じる秋の気配











源泉掛け流しの湯は、ちょうど良い湯加減
気温が低くなってくると自然に湯が冷めて 心地よい温度になる。 そんなところにも移りゆく季節を感じるもの




先付
「伊東産金目鯛の葛打ちと雲丹の銀餡掛け」
伊豆は鮮魚の宝庫、金目鯛は産卵前が旬。 伊東産の地金目は特に脂ものって格別の味




八寸
趣向をこらした一皿に料理長の情熱を感じる一品一品
「冬枯椎茸のお浸し いくらのせ」
自家栽培の原木椎茸の旨み。
伊東港付近にかますの群れが来ているのだとか。 炙ることで旨みをさらに引き出した「炙りかますの棒寿司」
地酒は初亀の秋上がりを冷で




鮑は酒蒸し
アワビは生で食すよりも蒸した方がぐっと旨みが増すそう。 肝はソースに仕立て、柔らかい食感とともに海の香り。 一手間かけた大人の酒肴に舌鼓。




天城の山葵田で育った紅姫あまごの松茸巻き
「あまご」は鮭の仲間。 海に下らずに河川にとどまったサツキマス。 渓流でも最上流に生息し「清流の女王」と称されるよう。 丸みのあるジューシーな味わいは女王そのもの。




深まる秋はこれから
暖かい伊豆は寒時雨の時でさえ、ほっこりと過ごせそう