真夏の夜の夢「パルフェ・タムール」

一年で最も昼間が長い日、そして最も夜が短い夏至。太陽は一番高く、エネルギーが満ち溢れていると考えられ、各国で「夏至祭」が行われる。 日本では、梅雨真っ盛り。雨が続いているので夏の日差しが待ち遠しい、そして夏本番に向けて暑さが増していく時期でもありますね。



4000坪の森に囲まれた別荘宿の窓から眺める緑は潤いを増して益々パワーが感じられ、滞在するだけで自然の浄化作用やセラピー効果があるような気が。深呼吸すれば、すっと森の空気が体に染み込んでいく。


(日本の色棟・赤のお部屋から)


シェイクスピアの喜劇「A Midsummer Night’s Dream」は夏至の前夜に起こった森の妖精と貴族と職人たちのドタバタ騒ぎ。初演は1594年から1596年の間と言われ、貴族の結婚式のために書かれたとも考えられているようです。
欧州では、夏至の日は妖精の力が強まり森の中でお祭りが行われると考えられていたそうで、戯曲の背景には様々な風習が盛り込まれていますね。
劇中にはいたずらな妖精パックや妖精王オーベロン、妖精女王ティアーニアなどが登場。人間の若い男女は恋愛問題を抱えて森で落ち合う約束をする・・・。



妖精の王オーベロンが花の汁から作った媚薬。これは「ニオイすみれ」のエキス。目覚めた時に初めて見た相手を好きになるという効果があるもの。妖精パックの「うっかり」が物語の展開を思わぬ方向へ向かわせる。逆転と交差が構成するドラマはたった一夜の森の中の出来事。まさに夢の中なのですね。



別荘宿で過ごす今宵にぴったりの森のカクテル「パルフェ・タムール」を食前酒にしてみよう。世界でも珍しいこのリキュールは「ニオイスミレ」の色や香りを抽出して作られている香り高いお酒で「飲む香水」とも賞されるとか。18世紀半ばにフランス北東部のロレーヌ地方で誕生してから、たちまち人気を博したのだそう。



今夜、うさぎの森でも妖精たちが面白おかしいドラマを繰り広げているかも知れない。そんな思いを馳せながら、旬のお料理に箸を進めていこう。


初夏の宴は涼しげなお料理がいっぱい。








今しがた外で拍子木の音が聞こえた。一年で一番短い夜の始まりは、不思議で美しい瑠璃紺の空。眠りにつくにはまだ早いから雨音を聞きながら露天の湯にでも浸かろうか。