伊豆高原の桜並木は染井吉野が満開だと聞いて、今回のショートトリップは友人夫妻とプライベート観桜会と洒落込んでみることにした。桜のトンネルを抜けると伊豆高原の別荘地が広がる。
お花見というと、桜の木の下で宴会のイメージがあるが、そもそもお花見の始まりは平安貴族が花を見ながら歌を読んだり、蹴鞠をしたりしたのが始まりで、その後庶民が桜の木の下で弁当を広げたりお酒を飲んだりするようになったという。
花見という文化は日本特有の文化だそうで、四季があり、季節の花が咲き、また花見弁当と言うくらい、冷めた料理を美味しく、また見ても楽しみながら頂くと言うのも日本特有の文化のようだ。
四季を楽しむ文化は、四季折々の風情を楽しんだ豊かな感性もあるのだろう。田んぼの神さまを楽しませるためと言う説も。
花吹雪の敷地内でもさまざまな桜を楽しむ事ができる。新設の万葉棟の林には野生の桜。花びらは白に近いほんのりと桜色をしている。
倶楽部ハウスの前には、もともとここにあったという立派な大島桜。染井吉野と似た白っぽい花を咲かせるが、花と葉が同時に出るのが特徴だそうだ。
早咲きの河津桜を初めとして、染井吉野、小彼岸桜も次々と満開を迎えて、風にそよいでは、はらはらと花弁を散らしている。まさに花吹雪の季節がやってきた。零れ桜が舞う様はなんとも美しく、まるで絵のよう。
お昼のお膳を楽しむことにする。観桜会であるからもちろん美酒はつきものである。好みの猪口を選んで楽しむ。
先付は嶺岡豆腐
嶺岡豆腐は牛乳と葛粉でできた和スイーツであるが、花吹雪では前菜としても美味しくいただける仕立てになっている。なめらかで、もっちりとした舌触り。江戸時代から伝わる料理だそう。
八寸にはいかにも春の宴にふさわしい彩り。
蕗と蕗の薹の白和え。おそらく敷地内に自生する蕗を用いてくれたのだと思う。独特の良い香りがする。地物の黒鯛の昆布〆小袖寿司、天城の花山葵を三杯酢で。静岡県産のばい貝のうま煮。地元では「うみつぼ」とも呼ぶがこれはお酒が進む。蛍烏賊とたらの芽の芥子酢味噌和え。
お造りは鰆と真鯛
春の季語にもなっている鰆。脂が乗って癖のない旨みがある。この時期に漁れる真鯛を桜鯛とも呼ぶそう。身は桜の花弁のような薄桃色をしている。身が引き締まり豊かな味わいがする。
煮物は穴子の飛龍頭
豌豆の擦り流しに飛龍頭、道明寺麩と椎茸、揚げ牛蒡を添えてある。食べ応えがあり、コクと香りを楽しめる一品。
名物の桜おこわ
桜の季節限定の御飯。これを目当てに来るお客様も多いと聞くが、私たちの目当ての一つも花吹雪名物の桜おこわ。
ご飯の上下に桜葉を使い、桜葉独特の甘い香りがふわっと鼻をくすぐる。桜葉の端をすこしご飯に乗せて頂くのが私流。
最後に一口の甘味、わらび餅
スイーツも自家製。
手抜きのない丁寧な仕事がお料理一つ一つに反映していて、豊かな観桜会となった。
食事の後は貸切風呂を楽しむもよし、4月半ば桜終わったあとの桜の里(富戸)は穴場だそうで大島桜、まめ桜、牡丹桜などまだまだ見頃。
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