豊穣の秋、豊かに咲きこぼれる萩の花

月初に寒気が流入したとかで、今年の紅葉は少し早く楽しめそうだとのこと。そんな朗報を耳にすると、そわそわしてしまうのは私だけかしら。本格的なデジイチはもちろん、最近のスマホもカメラの性能が素晴らしい。山里の秋、美しい自然の色重ねを切り取ってみようと定宿を訪ねた。紅葉狩りもさることながら、晩秋の天城は山の幸、そして伊東港の海の幸も期待できそう。



11月第四木曜日 収穫感謝祭「thanks giving day」と言ってアメリカでは有名な祝日の一つだそう。学生の頃、学校行事にもあったのを思い出す。果物や野菜を家庭より持ち寄って祈りを捧げた後にそれらを持って高齢者施設や子どもの施設を訪問したもの。今年はそういった行事はなかなか難しいのかもしれない。



フランスを発端に今では世界中が祝うボジョレーヌーボーは11月の第3木曜日。 2020年は、降水量が少なく暑い日が続いたことから、「完熟した果実の香りがあふれる芳醇(ほうじゅん)な味わいがする」という。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で輸送期間に余裕を持たせたため、例年より10日ほど早い到着となったそう。11月は何かと食欲をそそることが多い。



日本も昔から五穀豊穣を祝う習慣が各地で行われて、宮中や神社でも「新嘗祭」をお祝いしている。天候に左右され、自然と戦いながら育てた稲の収穫は日本人にとって「命」そのものであったのだろうと思う。収穫後の米に麹や酵母を加えて発酵させれば日本酒に。12月になると本格的な新酒仕込みも始まりを迎える。



静岡県は「吟醸王国」と呼ばれるほど高品質な日本酒を産み出す銘醸地だというのをご存知でしょうか。日本酒の品評会で多くの賞を受賞する静岡の地酒。2008年の洞爺湖サミットに起用されたのをキッカケに一躍注目を浴びるようになったのだとか。フルーティな味わいが人気の決め手なのだそう。その秘密は独自の酵母「静岡酵母」によるもので、りんごやマスカットの香りがするものもあるのだと聞きます。



日本酒の原料は水と米だけとシンプルなもの。富士山や南アルプスの豊富な水源に恵まれた静岡は名水の宝庫。また、静岡県の杜氏(とうじ)は出身地が幅広く、経験豊かな当時が腕を競い合う環境が地酒をハイレベルなものに育て上げているといいます。
入手しにくい「プレミアム酒」として珍重される静岡の地酒。今年の出来栄えはいかに?



今夜は豊かな秋の恵みを芳醇な香りの静岡の地酒でいただくことにしようか。



磯自慢 純米吟醸
フルーティな吟醸香が爽やか。淡麗な味わい。柔らかな甘みと後口の酸味。料理との相性がいいお酒。



先付:胡麻味噌焼き 伊豆あおり烏賊と鱈の白子
コクのある甘みの胡麻味噌と旬の烏賊。白子の濃厚な旨味。



八寸:鮑の味噌焼き・自家製いくらと伊豆明日葉と干椎茸のお浸し・〆かます炙り寿司・静岡美味鳥の松風・柿の胡桃白掛け
目にも楽しい八寸。〆かます炙り寿司は皮下の味わいに旨味が。



お造り:かつお・金目鯛・ほうぼう・赤モク寄せ
地魚は酒のアテ。楽しみの一つ。



蓋物:静岡産海老芋の饅頭
海老芋饅頭の上にフカヒレの姿煮。和に少しの中華テイストが効いている。



焼物:秋鰆の自家製塩麹焼き
秋から冬が二度目の旬という鰆。駿河湾では秋が主だそう。