和ハーブ・丁子(クローブ)で温活

寒い夜は、ホットラムがおすすめ。ラム酒をお湯で割り、丁子を一粒。レモンを添えていただく。スモーキーな甘いバニラの香りが立ち、身体の中から温まる。シナモンとの相性もいいので好みでパウダーを振るのもいい。



丁子はクローブと言う方が耳慣れているかもしれないが、釘のようなその形から日本では「丁子」と呼ばれる。原産地はインドネシアのモルッカ諸島で、漢方薬としても利用された。日本では5世紀から6世紀ころ、飛鳥〜奈良時代には使われていたという。江戸時代以前から日本各地で用いられてきた有用植物を「和ハーブ」と定義づけられているそうだから、丁子もれっきとした和ハーブである。


奈良・平安時代から愛される丁子の香り

正倉院には帳外薬物として実物が保存されているほか、源氏物語には「丁子染め」という表現がされている。蜻蛉の巻の匂宮の衣装についての記載に、丁子を煮出して染めた丁子色の薄衣の濃厚な甘くスパイシーな香りが感じよいと書いている。
丁子染めは、黄身の深い褐色の色とほのかに残る香りを「香染め」と呼び、貴族に好まれたようだ。



江戸時代になると丁子風呂(ちょうじぶろ)としても使われた。「風呂」と言っても丁子のお湯に浸かるのではなく、香炉に似た容器で丁子と水を入れた器を温め煎じて香りを出すもの。銅、鉄、陶磁器製のものがあり、今で言うアロマディフューザー。香りが室内に漂い室内の防臭・防虫の他、吊るしてある衣類に香りを移したりして用いたそうだ。発祥は定かではないが琉球王朝時代の儀式で使用され、献上品としても使われて広まったようだ。藩主、大奥、貴族、使用した人も場所も様々。



(画像はイメージです)


丁子はフトモモ科の樹木、チョウジノキの花蕾を指す。花が開く直前に摘み取り乾燥させる。主に香辛料として知られるが、精油も採れて薬用にも用いられる。歯痛、健胃、消臭、鎮静、防腐などの効能、体を温める作用があり、薬酒として飲むと体が温まり血行・血流を促進する。


戦国武将も愛用した深く濃厚で渋い香り

鎌倉時代ころから武士の間でも身だしなみを整えたり、教養のために香りを用いたと言う。香りだけでなく防虫や防臭などの効能も珍重され、高価なお香は権力の象徴にもなっていた。また戦の前には香を焚き髪や甲冑、兜に香りを焚き染めていた。強い香りで魔を祓う意味や集中力を高めたり、戦いの前の緊張をほぐして心を鎮めたりする効果を期待したものと思われる。戦国武士のアロマテラピーと言ったところか。武士のアロマだけでなく、意外な使われ方として日本刀の手入れに錆止めとして「丁子油」が使われたそうだ。



12月の風物詩クリスマスポマンダー

ポマンダーとは「匂い玉」のこと。13世紀中世のヨーロッパで装飾品として、また病気の予防として聖職者、医者、高官、高貴な身分の人が首やベルト、ガードルに吊り下げて携帯した。16世紀に入るとペストが流行したこともあり、ポマンダーはヨーロッパで最も愛用されたと言われている。自分の周りを強い香りでバリアーする意味で、りんご、オレンジ、レモンなどにクローブを刺して乾燥させたものを部屋に吊るすことで、魔除けと信じられた。欧米では今でも、幸運を呼ぶラッキーチャームとしてクリスマスから新年にかけて飾ったり、プレゼントしたりする習慣があると言う。



丁子染めの足袋で足元もほかほか
平安貴族に好まれた丁子染めだが、花吹雪のお部屋には浴衣、くつろぎ着と一緒に「丁子染めの足袋」が用意してある。



渋い黄褐色の足袋を湯上がりに履くと、いつまでもほかほかと温かい。足袋ソックスは疲れた足を優しく包み、足の先が分かれていることで様々な健康増進効果もあるそうだ。



モーニングチャイで素敵な1日のスタートを

最後に自宅でも簡単にできる「チャイ」のご紹介。朝食を取らない人も寒い朝を1杯のチャイでスタートしてはいかがだろうか。冷え性の方には体を温めてくれるスパイスはおすすめしたい。紅茶のティバッグ1つにクローブ、ジンジャー、カルダモン、シナモン、スターアニス、コリアンダーなど適宜入れ、水を100CC加えて香りが出るまで弱火で煮出す。牛乳を200CC入れて沸騰しないようにかき混ぜながら温める。茶漉しで濾してカップ2杯分のチャイが出来上がり。蜂蜜を小さじ半分ほど入れて温かいうちに召し上がれ。牛乳を豆乳にすればソイチャイになる。スパイスの調合が面倒な方には市販のチャイマサラなどブレンドディてあるミックススパイスと好きな紅茶でも美味しくチャイブレイクが楽しめる。