伊豆高原から贈る旧友への葉書

日常の喧騒や雑事から解放された旅先の宿。何もせずにゆったり寛ぐ豊かな時間で1枚の葉書を書くのはいかがか。湯上がりに浴衣、袴、丹前という姿が花吹雪での部屋着。なんとなく「書く」という気にさせる気もする。



ご無沙汰してしまっている人への便りには、久しく会えないでいる想いや、相手の様子を尋ねる言葉、近況のニュースなどを盛り込んできちんと書きたいと思うほど、日々の雑事に追われてしまい筆が進まないのではないか。


最近はSNSなどの活用により直筆で文字を書いて郵便で送る。ということ自体が激減している。シニア層では終活の一環で「年賀状じまい」などという方も増えたとされているなかで、あえて旧友への1枚の葉書を書いてみたいと思う。



慌ただしい年末を過ごすことで年賀状の準備がままならなかった時でも、相手は私を忘れずに1枚の葉書を贈ってくれた。遠方に住んでいることもあり、お互いに忙しくもあり、しばらく会っていないが、その筆蹟を見ただけで彼女の顔が浮かぶ。楽しく会食したことや一緒に行った旅行などが思い出される。


旅行先から絵葉書が送られてきた経験をお持ちと思う。これもまた嬉しいものではないか。その場所へ行ったことがあってもなかったとしても、旅先から届いた葉書には旅での出来事や驚き、感動などが記されていたりして、受け取るほうはあれこれイメージしながら読むものだ。送り手の性格や表情なども想像しながら読むメッセージは楽しく豊かな時間だ。



佳子さま

お正月気分も抜け、寒さが一層厳しく感じられます。しばらく会えていませんがお元気でお過ごしですか。私は相変わらず慌ただしい年末年始を過ごし、やっと伊豆高原の宿で体を休めているところです。掛け流しの貸切風呂が身体を癒してくれます。ここは暖かくて、もう桜が咲いているのですよ。一緒に指宿へ行きましたね。懐かしいなあ。またお会いする日を心待ちにしています。

城ヶ崎温泉 花吹雪にて



森のうさぎ棟・勘助うさぎ