金目鯛桜葉〆、八重桜と天城山葵のソルベ

小彼岸桜の満開を迎える頃には、貝や春野菜など旬の恵みがふんだんにあしらわれて夕餉の献立も随分春を装ってくる。
八寸:蕗と蕗の薹の白和え、地物黒鯛の昆布〆小袖寿司、天城産山葵の三杯酢、静岡県産ばい貝の旨煮、蛍烏賊とたらの芽の芥子酢味噌掛け
大人の苦味を楽しむ春の八寸。お酒にもよく合う。日本酒はもちろんだが昼間の気温が高かった日などはフルーティな白ワインもいい。



ばい貝は巻き貝の一種で栄螺や蛤などのように生活圏に近いところで猟獲できる代表的な貝。かつては庶民に親しまれる食材であったが、今では「黒バイ」と呼ばれ、料亭などの高級食材として扱われる。くるっと回しながら楊枝で取り出すと内臓まで取れる。噛むほどに旨味が感じられる。



敷地内の土筆と小彼岸桜をあしらった一品は、敷地内で採れた蕗と蕗の薹の白和え。コクのある白和にほんのり苦味を感じる蕗の薹と蕗の食感のバランスが良く料理長イチオシ。



御造:金眼鯛の桜葉〆 山菜酢巻き、平政、平目
伊豆高原の和風オーベルジュ「春のご馳走」と言えば、名物の桜おこわと金目鯛桜葉〆をお薦めする。この二品とも献立にあるのはこの時期だけ。



山葵酢のゼリーを刺身に巻いてあるので醤油は付けずにそのまま頂く。口福(こうふく)という言葉、聞き慣れないかも知れないが「美味しいものを口にした時の満足感」のことを言う。花吹雪オリジナルの金目鯛桜葉〆は、塩漬けの桜葉に包まれて、脂が乗った金目鯛の甘味が増す。まさに口福を感じるのだ。



蓋物:穴子の飛竜頭、豌豆の摺流し
鶯色の豌豆摺流しがかかった穴子の飛龍頭。針牛蒡の揚げも香ばしい。



中猪口:八重桜と天城山葵のソルベ
中猪口は和食コースの中程に出され、口直し的な要素を持っている。花吹雪の中猪口はソルベと決まっている。季節のフルーツや食材を天城の山葵と合わせていて甘さだけではなく、舌の隅でほんの少しピリッとくる天城山葵の辛味と香りが品の良い大人のソルベ。お酒と一緒に料理を楽しむ時にも、とてもいい口直しになると思っている。特に八重桜と山葵の組み合わせはオススメ。



焼物:静岡牛「葵」の和製ロースト
鮮やかな萌木色のソースは菜花と百合根のペースト。揚げ牛蒡の香ばしさと行者にんにくが、肉の旨みをいっそう引き立てている。



御飯・留椀:花吹雪名物 桜おこわ、清汁仕立て
名物、桜おこわのご飯は4月20日くらいまで。今年は食べ納め。


桜づくしの懐石は満開の桜を見ながらの宴となった。この後は「黒文字の湯」かそれとも「鄙の湯」か「サンパヤテレケ」まで行こうか。


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